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月旦45歳、偈をもらい、無外子を名乗る
ときに流租辻月旦45歳。元禄6年。
悟りを開いた流租に、石潭和尚の名で偈が授けられたと言います。
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一法実無外 (一法実に外無し)(いっぽう じつに ほかなし)
乾坤得一貞 (乾坤一貞を得)(けんこん いってい を う)
吹毛方納密 (吹毛まさに密に納む)(すいもう まさに みつに おさめ)
動着則光清 (動着すれば光清し)(どうちゃく すれば すなわち ひかり きよし)
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この20文字に込められた意味こそが重要です。
大森曹玄老師の言葉を借りてみましょう。
大森曹玄老師による解説
大森曹玄老師の一言
一法実無外
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一即ち絶対の真理とか、真実の道とか言われるもの以外は何も無い。全てはこの一、即ち絶対の現れたものである。 |
乾坤得一貞
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天地乾坤(天地というような意味(の大といえども、初めて動揺のない、即ち万古不動の正しさ(貞)を得ているのである。 |
吹毛方納密
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その一なるものは、毛を吹きつければ即座に斬れるような吹毛の剣の鋭さを持っているが、これはどこにあるかと言えば、わが方寸の心(密)に納められている。 |
動着則光清
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しかもそれは、僅かに動くときは、その清々しい光輝が燦然と輝くものである。 |
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大森曹玄老師紹介
明治37年(1904年) - 平成6年(1994年)8月18日)は臨済宗の禅僧、花園大学の学長。また、直心影流剣術第15代・山田次朗吉の弟子でもあり、直心影流剣術の「法定」の指導も行った。山岡鉄舟ゆかりの高歩院の住職を務め、鉄舟についての著書もある。 |
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晩年の言葉や、「万法帰一刀」と合わせて考えなければならない
禅の公案や、偈について言えば、その解釈を仮に知ったとしてもその理解の深みに至っては、到達していなければ理解できないものがあるのではないかと考えます。
大森曹玄老師の解説をもってしても、偈の表面をなぞることしかできないのかもしれません。
本来この偈を理解するためには、渡辺誠紙はその著書「禅と武士道」の中で70歳代、亡くなる頃の流租辻月旦の言葉、そして「万法帰一刀」の考え方と合わせなければ見えてこないと指摘しています。
それを理解したとき、「無外流はすなわち禅である」と言う流租の矜持に気づき、
それを現代に学ぶ私たちは誇りに思うのかもしれません。
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