夢録 
18   
17  無監査刀匠 兼國先生 
(後編)    
16  無監査刀匠 兼國先生 
(前編)  
15 雑誌「歴史人」 掲載 特別編新選組三番隊 組長 斉藤一    
14  無外流居兵道 範士九段 第十五代宗家 塩川寶祥照成 先生 
13  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家   × 無外流明思派 新名玉宗宗家 
(後編) 
 
12  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家   × 無外流明思派 新名玉宗宗家 
(中編) 
  
11  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家   × 無外流明思派 新名玉宗宗家 
(前編)  
 
10  土方歳三 資料館 土方愛館長 
(後編)    
09  土方歳三 資料館 土方愛館長 
(前編) 
08  天然理心流 勇武館副会長 井上雅雄先生
(後編) 
07  天然理心流 勇武館副会長 井上雅雄先生
(前篇)  
06  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家
(後編)
   
05  天然理心流 宮川勇武清藏 九代目宗家
(前編)
04  新選組近藤勇 局長ご遺族 宮川豊治さん 
03   作家 島地勝彦先生 
02  無外流明思派 新名玉宗宗家
01 作家 北方謙三先生
 
 
   
 
 
 
   
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十六 無監査刀匠 兼國(かねくに)先生インタビュー

平成27年春、武田鵬玉は一振りの刀を手に入れました。
武芸住兼國作と銘打たれたその刀は平成七年に作られたものでした。

その刀を作った兼國先生は、
現代刀匠の中でも最高位の無監査刀匠の位をお持ちでした。
どんな方が作られたのか、お会いしたいと思った鵬玉は手紙を書き、
お会いすることになったのです。

今回の夢録は無監査刀匠のインタビュー。
刀を作る方が何をどう考えていらっしゃるか、
それを知ることができれば、刀も違って見えるかもしれません。

(インタビュー 武田鵬玉)



尾川兼國先生 おがわかねくに先生 本名尾川光敏

昭和28年生 作刀承認 平成三年

経歴  
平成12年 岐阜県教育委員会表彰(刀創作活動奨励状) 
  関市教育委員会表彰 
平成21年  無監査認定 
平成23年  岐阜県教育功労者表彰
   
主な受賞   
平成6年  新作名刀展 努力賞 
平成7年  新作名刀展 優秀賞(平成8・10・12・18年同賞) 
平成9年  新作名刀展 文化庁長官賞(平成14年同賞) 
平成11年  新作名刀展 薫山賞 
平成15年  新作名刀展 日本美術刀剣保存協会会長賞(平成17年同賞)
平成16年  新作名刀展 高松宮賞 
平成19年  新作名刀展 全日本刀匠会会長賞 
平成20年  お守り刀展覧会 岐阜県知事賞 






1) 津田越前守助廣を研究していた頃の刀との邂逅
兼国先生 ようこそいらっしゃいました。

武田鵬玉(以下武田) ありがとうございます。先生の刀を手に入れたのが今年の初め、そして今岐阜県関市で先生にお会いしているんですから、うれしく思います。

兼国先生 どうぞおあがりください。まず刀をお見せいただけますか?

武田 これです。覚えていらっしゃいますか?

兼国先生 ・・・覚えています。この頃は、(津田越前守助廣の得意とした)濤乱刃(とうらんば)と呼ばれる刃文の高低差を研究し始めていた頃でした。

武田 濤乱刃とは、打ち寄せる波の様子をイメージして焼かれた刃文ですよね。

兼国先生 (別の刀を一振出して)これを光を当ててご覧ください。谷がしっかりしているでしょう?

武田 本当ですね。

兼国先生 この谷をしっかり出すのが大変なことなんです。武田さんの手に渡ったこの刀の頃は発展途上でしたね。谷がまだ大互の目(おおぐのめ)のような印象ですよね。

武田 本当ですね。見比べると確かにそうです。

兼国先生 研究を重ねるごとに評価されていきました。だんだんイメージ通りに刃文が焼けるようになってきたんです。


2) 自分のからだを考え続けたから出会いに気づいた
武田 私は無外流を学んでいます。その宗家新名玉宗に師事して試し斬りも稽古してきました。私たちは形の中で斬れるか、そして居合ですから抜き打ちで斬れるかどうかを見られます。

兼国先生 抜き打ちですか。

武田 武道の研究は自分でするものだと思うんですが、やっているうちに自分のからだのことに気づくわけです。

兼国先生 ほう。

武田 「ああ、自分のからだの使い方はこうじゃないか」「実は俺のからだの場合は間合いはこのくらいじゃないか」「このくらいの反りと長さの刀俺にはあっているんじゃないか」そんな仮説、理想をなんとなくイメージしていて、ある日銀座の刀屋さんで出会ったわけっです。それも刀油を買いに行って、たまたま振り返っただけのところにそんなイメージ通りの刀があった。

兼国先生 それが私の刀だったわけですか?

武田 そうです。きっと考え続けていなかったら、そこにあっても気づかなかったっと思います。

兼国先生 ああ、そうだったんですか。


3) 「刀から自由になった」
武田 本当に美しいと思いました。しかし、実際に斬ってみるまでは、いい刀でも自分に本当に合っているかはわからない、結局一週間通い詰めて買ったその夜にすぐに道場で牛乳パックを置いて斬ってみました。ドキドキしながら(笑)。

兼国先生 はい。

武田 そうしたら、今までさんざん考えながら斬っていましたが、そんなこと何も考える必要がないくらいの感じで、スパスパ切れる。最後は自分が「刀から自由になった」というような感じがしました。

兼国先生 この刀は居合刀として作ったわけじゃないんですが、見ると居合刀になっていますね。


▲手に入れたその夜。調子に乗って牛乳パックをいくつも斬っているのがわかる(笑)


4) 「居合刀」と「新作刀」との違い
武田 先生が作られる刀のうち、居合刀とそうじゃない刀との違いというのはどこなんでしょうか。

兼国先生 作り方は変わりません。手を抜けば傷が出ますからね。ただ、材料の吟味の仕方が変わります。

武田 なるほど。

兼国先生 しかし、この一振を二十年後の今あらためて見ると、一所懸命作っていますね。新作刀として出してもおかしくないと思います。

武田 私はこの刀を見たその直後、興奮しました。家内に電話して「出会いがあったような気がする」と言っていました、(笑)

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