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HOME > 鵬玉会 > 夢録 > 十三 天然理心流×無外流 特別対談 > 十三 天然理心流×無外流 特別対談 2
28)技は変わらない。気持ちが変わるのだ
宮川宗家 ふっ切れたんですかね。ひらめきは重要ですよね。技は変わらない、気持ちが変わるんでしょうね。
新名宗家 居合というものに対する意識が変わったように思います。「技は変わらない。気持ちが変わるのだ」まさしくそうですね。武田さんや鵬玉会の会員、一門の皆さんにわかってほしいのはそこです。
武田 頑張ります。
新名宗家 風呂から出て寝るまでに、意識の世界で遊ぶのが楽しみなんです。呼吸法は塩川先生からうるさく言われましたが、鼻から吸って口から出しますよね。そうして意識の中で刀が銀河を越えていかないか、なんて遊ぶんです(笑)。
宮川宗家 (笑)。呼吸法は武道にとって重要ですよね。
新名宗家 呼吸法と言えば、岩目地先生からも言われました。「新名さん、吸っているときに攻撃されたらどうしようもないぞ。だから息を吸っているところが絶対にわからないようにしなさい。」
宮川宗家 「自分が息を吐いているときに攻撃しろ」と私もうるさく言われました。「相手が吐ききって吸うときに斬れ」と・
新名宗家 そうですね。呼吸を止めるなんてことも言語道断です。我々の呼吸は武息です。普通の呼吸は凡息、マラソン選手なんかが息を整えるのが調息。我々は武息を身につけなければなりません。「息を止めてものを斬るんじゃないぞ」と。
武田 そこはどんな武道も同じなんですね。空手でも息を吸っている、からだが緩んでいるときに攻撃を受けると効きますよね。だから呼吸を意識していくんですよ、と指導しますが、呼吸を止めている人は多いし、見ていればわかりますよね。「あなた、今呼吸を止めていましたね!」と(笑)。
29) いい先生につくことが武道の世界を行く上では重要です
宮川宗家 武道というのは奥が深いですねえ。まだまだ目指さなければならない。
新名宗家 宮川先生のような方にそうおっしゃられると大変ですね(笑)。みんなまだまだだ、ということになる(笑)。
宮川宗家 そういう意味でも、いい先生につくことがこの世界を行く上では重要です。武田先生もいい先生につきましたね。今日話をしてわかりましたが、新名先生は不思議な魅力をお持ちの方です。その魅力がきっとあれだけの一門の方がついてこられる根源なんだなあ、と感心しているところです。初めてお会いしましたが、この宗家なら年数をかけて学んでみたい、と思わせる方だなあ、と思います。
新名宗家 よしてください(笑)。宮川先生のような先輩にそう言われると恥ずかしく思います。宮川先生は柔軟な方で頭が下がります。考えてみれば、私もいい先生方について幸運だったなあ、と思います。今でも岩目地先生には電話して聞いたりします。「聞ける」というのもありがたい。一緒に考えてもくれますし、わからなければポンと答を出してくれる。
武田 昨年来、宮川先生のお話をお伺いする機会も多く、先生のお弟子さん達は幸せだなあ、と思います。私たちの新名宗家も同じで、こういう求め続ける謙虚な姿勢こそが、武道家として素晴らしく感じます。今日できないとしてもがんばろう、と思えます。
30)脈々と続いてきたもの
新名宗家 脈々と続いているんだよ。私を指導してくれた塩川先生は「おい、ここは俺の道場だから自由に使え」と言ってくれる。夜10時くらいまで指導を受けたあと、そのまま道場で一人稽古をする。先生は「俺はもう上に上がるからな」と階段をのぼっていく。しばらく稽古をしていると、ビール瓶を片手に降りてきてこう言うんです。「新名、足が違うぞ」
武田 え?見ていないんですよね?
新名宗家 音を上から聞いていて、「違う」と気づいたんだろうね。びっくりしたよ。
宮川宗家 空気の流れというのがあります。昔は真っ暗闇です。その中で空気の流れが変わる。殺気なんかはすぐに感じたでしょうね。武道を稽古していくと、それを意識するようになります。
新名宗家 そうでしょうねえ。
宮川宗家 今の方々はその点無防備です。後ろから近づいてくる人にでさえ気づかずぶつかってしまう。おそらく昔はそんな武士はいなかったでしょう。
新名宗家 そういう意味では自転車に乗っていても稽古はできますよね。後ろから自転車に追い抜かれる。そんなとき、もし後ろから来る自転車に気づいていなかったら、「あ、自分は昔なら殺されていた」と思います。そう意識するだけでも随分違うはずです。まだまだ駄目だなあ、と何度も思います。
武田 新選組の当時だったら、毎日毎日が「今日も生き残った、よかった」という連続でしょうね。
新名宗家 本当にそうだよね。武道の稽古はただ道場で刀を振っているだけじゃないんだよね。
武田 今から武道を学ぼうか、自分にもできるだろうか、と興味をお持ちの方も多いと思います。何もやったことがない、という人でも、古の剣豪に近づける可能性はあるものでしょうか。それを両ご宗家にお聞きしたく思います。
31)「目指してみたい」と思うこと
宮川宗家 あるんじゃないんでしょうか。問題意識を持つことが重要だと思います。目指してみたい、という意識を持つことだと思います。足の親指の爪がその間合いに入るかどうか、たとえて言えば刃境を超える超えないというようなことを考えるかどうか。そういうことを言えるかどうかだと思います。新名先生はいかがでしょう。
新名宗家 その通りだと思います。そういう意識がなければ、ただのサークル活動になってしまいますからね。「右足が出るときは死ぬか生きるか二つに一つだぞ!今命を守る刃境を越えたぞ!」という稽古をさせてくれるかどうか。そういうことが重要じゃないでしょうか。
32)斬るか斬られるかの差
▲甲州勝沼線での新選組近藤勇局長を描いた錦絵 |
宮川宗家 斬るか斬られるかの差はどこでしょうかね。
新名宗家 相手との間合いをしっかり読み、相手より刀が早いか、どうかじゃないんでしょうか。宮本武蔵は一寸の間合いを読み切れたと言いますが、それは難しいところです。塩川先生は「わしは一寸は無理だ。わしはようやく5センチだ」とおっしゃっていました。
宮川宗家 理心流の宗家は「間合いと気合だ」 と言っているんです。「間合いと気合なくして勝ちに至らず」と。ですから、刃境、言わば間合いというのは非常に的確な言葉です。生きるか死ぬかの境目、刀は当たれば終わりですからね。
新名宗家 気合だ、というのは相手を飲み込むということだと思いますね。
宮川宗家 相手を飲み込み、自分の間合いで斬る、というのは真理ですね。流祖の言葉を理解するのに大事な言葉だと思います。
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