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(後編) |
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(前編) |
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(前篇) |
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HOME > 鵬玉会 > 夢録 > 十七 兼國先生 1
十七 無監査刀匠 兼國(かねくに)先生インタビュー
平成27年春、武田鵬玉が手に入れた一振りの刀。
その刀を作られた、無監査刀匠の兼國先生へのインタビューの後編です。
後編では実際に刀を作られる鍛錬所へとご案内いただきます。
(インタビュー 武田鵬玉)
尾川兼國先生 おがわかねくに先生 本名尾川光敏
昭和28年生 作刀承認 平成三年
経歴 |
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平成12年 |
岐阜県教育委員会表彰(刀創作活動奨励状) |
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関市教育委員会表彰 |
平成21年 |
無監査認定 |
平成23年 |
岐阜県教育功労者表彰 |
平成27年 |
関市無形文化財認定 |
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主な受賞 |
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平成6年 |
新作名刀展 努力賞 |
平成7年 |
新作名刀展 優秀賞(平成8・10・12・18・21年同賞) |
平成9年 |
新作名刀展 文化庁長官賞(平成14年同賞) |
平成11年 |
新作名刀展 薫山賞 |
平成15年 |
新作名刀展 日本美術刀剣保存協会会長賞(平成17年同賞) |
平成16年 |
新作名刀展 高松宮賞 |
平成19年 |
新作名刀展 全日本刀匠会会長賞 |
平成20年 |
お守り刀展覧会 岐阜県知事賞 |
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14) 基本を知る 刀のつくり方
兼国先生 ここが鍛錬所です。(武田の娘に)この砂、砂鉄って言うんだよ。炭を使って溶かして、これを塊にするんだよ。
武田の娘 へー
兼国先生 玉鋼(たまはがね)を薄くつぶしてへして玉へしという状態にし、小割りにし折れ口を見て、どの部分に使うかを分類します。外側の「皮鉄(かわがね)」、内側の「芯鉄(しんがね)」にしようか、とね。
武田 なるほど。
兼国先生 ここから重要な作業です。これを積み重ねて鍛錬を始めるんです。刀には肌がありますが、それを出すために鍛冶屋さんによって鍛錬回数を変えてみたり、各自工夫をします。
武田 それがその刀匠の持ち味になっていくわけですか?
兼国先生 そうですね。強いもの、弱いものの組み合わせも考えます。これは四方詰(しほうづめ)と呼ばれる工程です。刃、芯鉄、棟鉄(むねがね)、皮鉄(かわがね)」と四つ足したものが伸びます。私は「四方詰」ではなく、「甲伏せ(こうぶせ)」という方法で作ります。甲伏せは皮鉄で芯鉄をくるみ、沸かしながら打ち伸ばすんです。
武田 それは何か理由があるんですか?
兼国先生 四方詰は砂流など、少し強い働きが出ますから、美しい肌(地金)を見せたいという理由から甲伏せをします。その途中のものをお見せしましょう。素のべです。
武田の娘 わあ。凄い。刀みたい。
武田 うん、刀になってきとるね。
15) 一振一ヶ月
兼国先生 長さも重ねもこの段階で決まるんです。後は手槌で刃の方を打ち出していくだけですから、ここをきちんとしておかないと。
武田 「この長さで作ってください」ということもできるわけですか?
兼国先生 できます。長さ、重さ、指定されればその方量で作りますね。これは焼き刃土を塗る過程です。これで刃文を作ります。直刃、互(ぐ)の目、丁子、三本杉、これがうちの刃文ですね。
武田 濤瀾乱刃ですね。
兼国先生 はい。これらは見本に塗ってみたものです。
武田 なんかこれ見るだけでも凄いですね。
兼国先生 いろんな先生方がそれぞれ工夫されていますね。焼き入れのとき急冷すると一瞬刀はうつむくんですよ。
武田 うつむく?
兼国先生 はい。冷えてくると刃の方に焼き上がり、棟の方に押し上げられて反ってきます。冷えてくるまではこの土は落ちてはいけないんですよ。
武田 へー!
兼国先生 そこが難しいですよね。土も鉄にあっていないと、良い焼き刃は入りません。だから私の焼き刃土を他の方にあげても同じようにはならないんです。
武田 逆もあるんですよね?
兼国先生 だから焼き刀土をもらうこともないんです。そこから反りなどを調節していくんです。そんなふうにして、一ヶ月ぐらいで一振り仕上げていくんです。
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