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HOME > 鵬玉会 > 夢録 > 二十 斎藤一ご子孫 藤田さん1 > 二十 斎藤一ご子孫 藤田さん2 > 二十 斎藤一ご子孫 藤田さん3
16)武道という世界の大問題
武田 まあ、私達武道に関係する者だけの問題ではないと思いますが、今問題なのは、本当は武道人口の減少ではないかと思います。極真空手を総合すると14万人だと言います。柔道で17万人とか。
藤田さん へー!
武田 しかし、居合は寂しいものです。「居合」という言葉自体を知らない方も多いですからね。私達無外流の一門が多いと言っても国内で千人単位の規模です。「居合は最終武道」「最も侍に近い武道」と言われながらも、極真空手や柔道の人口とくらべると微々たるものです。日本にあるほとんどの流派がおそらく数十人規模。その中で技術や精神の継承ができるのか。本当に疑問です。
藤田さん なるほど。
武田 動物だって個体数が減ったら「絶滅危惧種」の指定を受けるじゃないですか。実はまさにそんな感じなんじゃないかと思います。ですから「会を持て」と宗家に言われたときからずっと考えたんですが、この素晴らしい武道を普及しよう、と覚悟を決めました。そこで、藤田さんもお読みになっていたという作家の島地勝彦先生の勧めで、今年の初めにお墓参りに行ったんです。
藤田さん どなたのお墓参りですか?
武田 大山倍達総裁と梶原一騎宣先生のお墓です。故大山総裁は、単一の武道団体としては世界最大の組織を作り上げた方です。梶原先生は、メディアに訴えかけて、世に極真の大ブームを巻き起こした方です。「お力をお貸しください」とお願いしてきました。そしたら「空手バカ一代」を映画にした東映のオファーですからねえ。
藤田さん ふふ。
武田 ほぼ同時に東芝のプロモーションへの協力依頼が来ました。日本人が日本人のアイデンティティを失いかけ、思いやりを無くしかけ、インターネットでは好き放題に誹謗中傷しています。でも本当のグローバル化というのは、アイデンティティが重要です。「自分が何者か」というのを語れなければそもそもコミュニケーションできません。
藤田さん 外国人とのコミュニケーションは難しいですからね。
武田 わかりあうためには、まず自分の根っこと向き合うことが重要だと考えれば、自分と常に向き合おうとする武道というのは非常に力があるように思います。少なくとも稽古の中には疑似として常に「生きる死ぬ」という感覚がある。それで肚を練っていくことができると山岡鉄舟先生もおっしゃっています。
藤田さん そうですか。
17) 藤田さんにとっての新選組
▲新選組三番隊斎藤一隊長。
藤田さんからの情報。「福島県立博物館には、上記の藤田五郎の写真(原本)を所有者が寄託してあります。また藤田五郎が松平容保公から賜って、私の家に持っていた容保公自筆の和歌の色紙二点を今年春に寄託してあります。同館では会津祭りに合わせて、(2017年)9月16日から24日まで、それらの寄託品の特別展示をするとのことです。」あなたもぜひ。 |
武田 藤田さんにとって新選組、ひいお爺様であられる斎藤一というのはどんな存在でしょうか。
藤田さん 子どもの頃はわけがわかりませんから怖い人たちだ、と誤解していました。だんだんわかってくると、あの時代には必要な存在だった、と思うようになりました。特に松平容保公が幕府のために頑張ったあげく賊扱い、負けた新選組もそうでかわいそうですが、形勢が悪い中でもがんばったわけですから。
武田 そうですよね。私は新選組があったのと仮に無かったのでは、変わったであろうことがあると思います。それは「武士はこうあるべき」という後世の概念です。きちんと筋を通す、という生き方を示せただけでも、ものすごく重要な存在ではないかと思うんです。それこそが武士道でしょうから。美しい花です。もちろん、その当時の重要な役割は人それぞれ違ったわけですが。
藤田さん 容保公のご子孫、保久(もりひさ)氏は、容保公と斎藤一に共通していたのは愚直なことで、二人ともひたすら愚直に頑張った、とおっしゃいましたよね。ぐっときました。ほんの150年前くらいの先祖の話ですから。
武田 作り話ではないから、迫力があります。自分には同じことができなくても、一歩でも半歩でも、です。
藤田さん そうですね。
武田 斎藤一さんが残されたのは武士の心構え、心であって、それが一族に生き残る強運を作られた。だからこそ、何があってもおかしくない中、お母さまが手を離さず連れて帰られた藤田さんが世界に羽ばたいた。その力いっぱい生き抜かれた生き方を見習いたいと思います。今日はありがとうございました。
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鵬玉独白
新選組の三番隊隊長斎藤一。
巷間「無外流であった」とされるその泣く子も黙る大幹部のご子孫は実に私のイメージ通りの方でした。
どんな家庭も家風というものがあります。子どもはその家風の中で薫陶をうけ、次の世代へまた伝えます。
私はこの藤田さんのものの見方や考え方がきっと斎藤一という方を知る一つの側面を見せてくれるものだと思いました。
話してみてわかったことは、生き残る心構えでした。
それは武士の心構えでもあるのでしょう。
私たちは無外流の技術云々だけに視野を求めるのではなく、こういう心構えも学ぶべきではないかと思います。
それが居合を通じて古の武士に一歩でも二歩でも近づく道ではないでしょうか。
私が藤田さんとお話して学んだのはそういう重要なことでした。 |
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47都道府県どこでも
通信教育「鵬玉居合スクール」
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